この先、わたしの生きていける場所ってちゃんとあるんだろうか。
人見知りは慣れだというけれど、慣れるどころか失敗経験を重ねるたびに、舌も頭も錆びついていく。そしてまた外への壁は厚く厚くなっていく。

特に人に誇れる能力があるわけでなし、せめて人並みのコミュニケーション技術の習得と、パニックにならずに情報処理して行動にむすびつけることができるようにならないと、私ほんとにのたれ死んでしまうかもしれない。

絵ではお腹はふくれないのだ。
・・・それ以前に、肥大し続ける劣等感は確実に私の中の絵の意欲を奪い去りつつある。黒いぽっかりしたものが、頭を覆っている。数年前に描いたものが自分の手によるということが、とうてい信じられない。

それでもなんとか壁を壊さねばならないのだろうか。わたしの人生はそれほどの努力をしてまで継続すべきものだろうか(と、たいした努力もしてないくせにうそぶいてみる)。
好きなものはたくさんある。大事なものもほんの少しある。けども、別にそこにわたしがいなくてもいいのではないか。

わたしは、ふわふわ空中をただようひとつの大きな目玉になりたい。ただずっといろいろなものを見ているだけの、大きな大きな役立たずの目玉に。役立たずではあるけれど、少なくとも人に迷惑をかけないものに。